コラム

再エネ推進と向き合う「事業終了時や開発後工程」の課題
~発電事業への挑戦とバックエンドに見る現場力の可能性~

株式会社東急コミュニティー

当社では直近、公共PPAをはじめとする再エネ発電事業への参画に取り組み始めている。一方で、発電事業者という立場で取り組みを進める中で強く意識するようになったのが、将来的な事業終了やパネル廃棄といった「事業終了時や開発後工程(バックエンド)」に潜む課題の大きさである。すでに施行された「太陽光パネルリサイクル推進法」のもと、一般論として懸念される法的・実務的リスクをどう捉え、当社の既存事業(建物管理等)の知見をどう活かしていけるのか、私どもの考えをまとめたい。

目次

    発電事業への参入と「バックエンド」課題への着目

    地球温暖化対策への貢献や社会的な環境ニーズの高まりを受け、当社でも自治体と連携した公共PPA等の発電事業への参画をはじめ、再エネ領域への本格的な取り組みを開始した。
    発電事業者としての検討を進める中で、今後業界全体として極めて重要なテーマになると痛感しているのが、事業終了時の撤去や再資源化といった「バックエンド問題」である。FIT買取り満了を迎える2032年以降、そして2040年代にかけて使用済みパネルの大量排出が予測される中、使い終わった後の適切な回収・リサイクル体制が機能しなければ、再エネ施策そのものが社会的信頼を失いかねないという危惧を抱いている。
    原子力発電が最終処分問題で議論となるのと同様、再エネにおいても開発や発電といった「入口」だけでなく、「いかにリスクを残さず綺麗に終わらせ、資源循環へ繋げていくか」という視点が不可欠だと捉えている。
     

    事業終了に伴う法的リスクと契約精算の盲点

    事業終了の手続きやリスクについて理解を深める中で、一般論として指摘される法的・実務的ハードルの複雑さにも着目している。
    たとえば、使用済みパネルは産業廃棄物に該当するため、処分費用を避けて「自社敷地内に不用品として放置する」ことすら、判例上不法投棄と同等と判定される重大なリスクが存在する。また、FIT/FIPの「解体等積立金」の取り戻し手続きが解体工事の「前」に必要であり、支給額も実際の解体費補填ではなく「積立額そのもの」であるため、資金繰りや発注タイミングの綿密な設計が求められる。さらに、送配電事業者との工事負担金精算や、地権者との基礎撤去範囲の確定など、多角的な契約解約プロセスも必須となる。
    中古発電所の買収(セカンダリー)においても、こうした将来の解体コストや過重な原状回復協定が残っていないかという「バックエンドのデューデリジェンス」が、今後の重要なリスク管理指標になると実感している。
     

    建物管理の現場力で挑む「安心なバックエンド」と今後の展望

    こうした複雑なバックエンド課題に対し、私たちが活かせる強みと考えているのが、「長年培ってきた現場マネジメント力」と「事業終了手続きの実績」である。
    当社はこれまで、ビルやマンション等の管理において、おいて「複数現場における施工・工程の管理・調整」「自治体や関係各所との緻密な調整・折衝」「厳格な安全・品質・コンプライアンス管理」といった現場ノウハウを蓄積してきた。また、PFI・PPP等においては、契約満了に伴う次期事業者への円滑な引継ぎや、事業終了手続きを確実に完了させてきた実績を有している。
    こうした多現場での調整力や事業完了までを見据えた管理知見は、将来的な事業終了時のスムーズな契約解約手続きはもちろんのこと、廃棄パネルを滞りなくリユース・リサイクルへ循環させるプロセス全体においても、有効に機能するのではないかと考えている。
    現在はまだ発電事業者としての歩みを始めた段階であり、リサイクル領域への関わりについても検討を模索し始めたレベルではあるが、将来的なリサイクル・再資源化領域への直接的な参画や東急不動産ホールディングスのグループ連携の可能性も含め、開発から再資源化にいたる持続可能な循環モデルにどのように貢献できるか、挑戦を続けてまいりたい。

    この記事の著者

    株式会社東急コミュニティー <font style="font-size: 0.8em">事業創造本部 事業開発部 新規事業チーム(エネルギー) マネージャー</font><br>尾曲 研人
    株式会社東急コミュニティー
    事業創造本部 事業開発部 新規事業チーム(エネルギー) マネージャー
    尾曲 研人
    2012年、株式会社東急コミュニティーに入社。
    2024年まで、東京都港区・千代田区などのマンション管理業務に従事。
    2025年4月から現部署に配属および東急不動産株式会社に出向。兼務体制にて、両社の自治体PPAの新規案件への取り組み、開発推進業務に従事。
    2012年、株式会社東急コミュニティーに入社。
    2024年まで、東京都港区・千代田区などのマンション管理業務に従事。
    2025年4月から現部署に配属および東急不動産株式会社に出向。兼務体制にて、両社の自治体PPAの新規案件への取り組み、開発推進業務に従事。
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