コラム

西武アグリパーク所沢・リエネソーラーファーム東松山 事業地視察及びメディア勉強会 開催ご報告

当協会では、地域における再エネ導入の事例や先進的なエネルギー技術に関する知見を深めるため、年に数回、会員向けに事業地の視察イベントを実施しています。今回、2026年8月26日(水)に営農型太陽光発電所のFOURE会員事業地視察兼メディア向け勉強会として、「西武アグリパーク所沢」(営農事業者:西武アグリ株式会社、発電事業者:三菱HCキャピタルエナジー株式会社)および、「リエネソーラーファーム東松山」(発電事業者:東急不動産株式会社、営農事業者:市民エネルギーちば株式会社)の視察ツアーを開催いたしました。

目次

    イベント実施背景、目的

    農林水産省は2026年4月に、農山漁村再エネ法に基づく基本方針の改定案概要を提示し、営農型太陽光発電のあるべき姿を明確化するとともに、地方公共団体が発電の適否を判断するための関連制度の見直しを発表しました。
    (参考)令和8年4月15日開催(第6回) 望ましい営農型太陽光発電に関する検討会
    https://www.maff.go.jp/j/study/250609.html
    このような政策的背景のもと、実際に「望ましい営農型太陽光」とは何かを考えるきっかけとして、FOURE会員企業が取り組む2つの先行事例を見学。発電事業者・営農者それぞれの観点から説明を行うことで理解促進につなげることを目的に、本イベントを企画いたしました。
    今回は、FOUREの会員企業に加え、一般財団法人Media is Hopeと連携し、メディア関係者も招待しイベントを実施いたしました。

     

    西武アグリパーク所沢視察

    西武アグリパーク所沢(*)は、西武鉄道やプリンスホテルと同じ西武グループ企業である西武アグリ株式会社が運営する農園で、約1.3haの太陽光パネルの下でブルーベリーやブドウなどを育てています。
    太陽光発電に関しては、FOURE会員企業である三菱HCキャピタルエナジー株式会社が事業者となり、発電した電力は所沢市の地域新電力を介して、市内の公共施設に供給されています。
    現地では、シャインマスカットなどのブドウが太陽光パネルによる遮光の影響をほとんど受けずに順調に生育している様子を確認できました。
    設備面においても、架台の高さを営農用に上げる以外は追加設備が不要であり、営農と太陽光発電の非常に相性の良い組み合わせであることを実感いたしました。
    また、西武アグリパーク所沢は2026年6月に観光農園としてグランドオープンし、夏の期間限定でブルーベリーの収穫体験を実施したほか、農業や環境学習イベントの開催、養蜂事業にも取り組まれており、幅広い事業を地域に根差した形で展開されています。
    (*)西武アグリパーク所沢 公式HP : https://www.seibu-agri.co.jp/agripark/

    ※西武アグリパークでは、本農園で収穫されたシャインマスカットなどを期間限定で直売予定です。
     所沢市内や西武鉄道の各駅でも日替わり販売予定ですので、お近くにいらっしゃる方は是非足を運んで見て下さい。
     (詳細は下記URLを参照ください。)
    2026年 西武アグリパーク所沢産ブドウ販売について
    https://www.seibu-agri.co.jp/agripark/update/news/20260903100038541.html

     

    リエネソーラーファーム東松山(TENOHA東松山)視察

    リエネソーラーファームは、東急不動産が所有する地域共生型施設「TENOHA東松山(*)」の向かいに位置し、水稲(コメ)を生育しています。ここで収穫されたコメは本施設内にあるレストランにて提供されます。
    9月に収穫時期を迎えるにあたり、穂には実がしっかりとつき、順調に育っている姿が見られました。
    「TENOHA東松山」はレストラン機能にとどまらず、EVの充電器、フレキシブルソーラーパネル、系統用蓄電池などの先進設備を備えた「再エネ実証施設」としても活用されています。
    (*)TENOHA東松山 公式HP : https://tenoha-h.jp/

    同場所では2022年から実証を行ってまいりましたが、2026年5月1日より営農型発電所として正式に竣工・運転開始いたしました。
    (ニュースリリースは下記を参照ください)
    埼玉県内の地域共生型施設と一体の営農型太陽光発電所 「リエネソーラーファームTENOHA東松山」が竣工・運転開始
    ~営農型太陽光の地域共生・還元モデルを“見て学べる”発信拠点へ~
    https://www.tokyu-land.co.jp/news/2026/001772.html
    ※その他営農型関連リリース
    埼玉県熊谷市で麦の圃場として国内最大規模の営農型太陽光発電所 「リエネソーラーファーム熊谷」が竣工・運転開始
    ~35筆(約4ha)の農地を集約し、農地の保全と農作業の効率化を実現~
    https://www.tokyu-land.co.jp/news/uploads/09b2df0437d18b191287bc78266018aa305df898.pdf

     

    事業者概要説明&質問会

    「TENOHA東松山」屋内にて、今回の視察事業地に関わる事業者様より事業概要の説明および質疑応答を実施いたしました。
    ・三菱HCキャピタルエナジー株式会社 運営管理第二部 課長代理 工藤 様
     西武アグリ株式会社 代表取締役 清野 様

    清野様からは、西武アグリパーク所沢の概要や環境貢献への取り組み、栽培作物の状況についてご紹介いただきました。
    工藤様からは、太陽光発電事業の経緯や営農型発電事業を推進するうえでのポイントをご説明いただきました。
    「農業」と「再エネ」双方の運用のリアルや、これまでの課題・工夫を惜しみなく共有いただき、営農型発電事業に対する参加者の理解がより一層深まりました。
    また、西武アグリパーク所沢産のブルーベリーとはちみつを使ったスムージーを、本見学会用にカフェで試作し、参加者の皆さまにご試飲いただきました。はちみつの自然な甘さのスムージーで大変ご好評いただきました。

     
    ・東急不動産株式会社 環境エネルギー事業本部 環境エネルギー事業第一部 石井 様
    石井様からは、東急不動産が推進する営農型発電事業の取り組み、「TENOHA東松山」の施設概要、および「リエネソーラーファームTENOHA東松山」の事業概要についてお話しいただきました。農作物への影響を検証する各種実証や、架台設計、農地集約による地域課題解決など、デベロッパー・発電事業者ならではの視点から、合意形成プロセスや工夫・課題について貴重な知見をご共有いただきました。

     
    ・市民エネルギーちば株式会社 専務取締役 宮下 様
    ・株式会社TERRA ソーラーシェアリング事業本部 本部長 矢谷 様
    宮下様からは、千葉県匝瑳市で展開されている地域連携型モデル「匝瑳システム」を中心に、同社の取り組みをご説明いただきました。
    矢谷様からは、本モデルの全国展開やペロブスカイト太陽電池を活用した最新の実証事業についてお話しいただきました。
    単に作物の収量を追求する農業から、営農型太陽光発電などを通じて多角的に収入の多層化を目指す「ミライ農業」の重要性と、地域と連動した「匝瑳システム」が果たす社会的な役割の大きさを再認識する機会となりました。

     
    事業者説明会の終了後、東松山から解散場所(池袋)へ向かう移動バスの車内にて、急遽特別トークセッションを開催いたしました(司会:FOURE 川崎事務局長、登壇:市民エネルギーちば 宮下様、自然エネルギー財団 塚本様)。車内セッションでは、国内外における営農型太陽光の先行事例や、農山漁村再エネ法に関するエピソード、今後営農型太陽光に求められる役割や期待について、幅広いテーマで活発なフリートークが行われました。

     

    まとめ

    本イベントを通じて、再エネ導入拡大における営農型太陽光発電のポテンシャルの高さや社会的な貢献度を改めて実感いたしました。
    一方で、普及拡大に向けては地域・自治体・事業者の連携が不可欠であり、技術面・理解醸成面双方でのさらなる働きかけが必要であることも明確になりました。

    エネルギー安全保障と食料自給率向上の両立という観点から、営農型太陽光が持つ有用性を正しく評価するとともに、今回視察したような「地域共生型の優れた営農型太陽光発電」のモデルケースを、当協会としても引き続き積極的に情報発信してまいります。

    この記事の著者

     FOUREメディア編集部
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